オウバイ(黄梅)の花は、ごく早春の時期、垂れさがる枝に写真のような鮮やかな黄色い花を葉に先立って多くつけます。他の花のまだ少ない時期だけに際立って美しく見えます。中国ではこのためか「迎春花」という名前が付けられていて、その名前のとおり春一番にふさわしい花に思えます。
中国南部を原産とする落葉低木で、高さ1mから2mほどになります。茎はよく枝分かれして細長く直立、あるいはアーチ形に垂れさがり、緑色の茎は四角形になり、毛はありません。垂れさがった茎が地に着くと節から根が出て、定着している様子も見ることができます。
複葉は対生して三枚の小葉は卵形の楕円形で1~3cm程度になり、先端がやや尖って縁に細かい毛があります。葉柄は5~10mm程度。
日本には寛永年間(1624~44)に渡来したとされています。江戸時代の代表的な園芸書である「花壇地錦抄」(1695)にも栽培法が書かれていて、現在でも庭木や生け垣として観賞用に植えられているのを見ることができます。
このように人々の目を楽しませてくれるように日本に移入された植物ではありますが、中薬大事典を見ますと、花と葉が別々な薬効を持つ生薬として収載されており、花は内服して解熱・利尿に利用され、葉は内服あるいは外用で、腫毒悪瘡、打撲傷、創傷出血などを治すとされています。
因みにこの植物の属するソケイ属は、旧大陸の熱帯から暖帯にかけて300種近く知られていますが、その中にはジャスミンティー(茉莉花茶)や香料にするマツリカ J. sambacも含まれています。