アモムム・スブラトゥムはネパール東部が原産で、インドから東南アジアで広く栽培される中形の多年草です。草丈は1mくらいになり、このホームページで紹介したショウガ科植物の中では中くらいの大きさです。全体としては背の高いミョウガといった感じで、茎や葉が赤みがかるところが異なります。属名はギリシア語の「a (否定) + momos (欠点、不潔など)」で、痛みがない、欠点がないことを意味し、この仲間の植物が怪我や解毒などの薬用に用いられたことに由来します。
アモムム・スブラトゥムの花は、茎の根元から伸びる短い花序につきます。地面近くで咲くところや花の形もミョウガに似ていますが、ミョウガのように若い花序を食べることはありません。
アモムム・スブラトゥムの種子は、カルダモン(ショウズク「植物こぼれ話 第57回」)と同じように香辛料または薬用として利用されます。カルダモンの果実よりもごつごつして大きく、黒いことから、「グレーター・カルダモン (Greater Cardamon)」、「ブラック・カルダモン (Black Cardamon)」、また原産地から「ネパール・カルダモン (Nepal Cardamon)」などと呼ばれます。カルダモンの方は花が咲けば簡単に実ができるのに対して、アモムム・スブラトゥムの方はまだ実が付きません。同じ仲間で用途もよく似ていますが、植物の性質は千差万別です。