BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

モノレナ・プリムリフロラ(ノボタン科)

Monolena primuliflora Hook.f.

モノレナ・プリムリフロラ


モノレナ・プリムリフロラは南米コロンビアからペルーの熱帯雨林に生息するノボタン科の多年草です。属名Monolenaはギリシア語の「monos(1つ)+olene(腕)」を意味し、葯の基部にある腕状の突起に由来します。種小名primulifloraは「primula + flora」で美しい花をプリムラ(サクラソウ)にたとえたものです。葯の突起というのは文章ではよく分からないので雄しべの拡大撮影を試みました。本種の場合、葯の下半分が前方に深く折りたたまれたように見える、他では見られない形をしていました。葯自体はこの上半分で、折れ曲がった下半分は(腕状の)附属体です。モノレナ・プリムリフロラは美しい花と色鮮やかな葉、奇妙な形の塊茎の3点から、各地の観賞温室で人気のある植物の一つです。

モノレナ・プリムリフロラは熱帯雨林の苔むした樹皮に着生する着生植物であることから、直射光と乾燥を嫌います。本株は広島市植物公園から譲受したものです。当初は肥大した塊茎が見えないくらいたくさんの葉で覆われていましたが、当館の温室は乾燥気味のために一時期は葉がすっかり落ちて塊茎だけになってしまいました。できるだけ湿った場所を探して、現在の置き場で落ち着きました。根が鉢の外まで伸びて、周囲の植木鉢や置いている棚に貼りついていることから、水分と空気の両方を好むことが分かります。

モノレナ・プリムリフロラの花は茎の先端部につきます。直径3cmほどの桃色の花で、朝9時頃に開き、昼過ぎの15時頃には閉じてしまう1日花です。果実は花の基部がそのまま大きくなった三角形で、中に直径0.5mmくらいの細かな種子が入っています。

立派な塊茎を持つので何かと利用されていそうに思われますが、情報は多くありません。エクアドルで行われた民族植物学調査によると、塊茎や茎、樹液を、煎じるまたはそのままで、駆虫、栄養剤、興奮剤、結膜炎の治療に用います。

参考文献
Ballesteros et al., 2016. https://doi.org/10.1155/2016/9105746

雄しべの拡大(左の白い棒は長さ5mm)

塊茎

果実