BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

サクラダソウ(キキョウ科)

Lobelia nummularia Lam.

サクラダソウ

サクラダソウは台湾を含む東南アジア、オセアニア、南アメリカまで広く分布する小形の多年草です。赤紫色の液果をつけるので、他のさく果をつけるミゾカクシ属(Lobelia)と区別してサクラダソウ属(Pratia)とする見解もありました。しかし、オセアニアに中間型の果実をつける種が見られることから、現在は区別をしなくなっています。サクラダソウ属を認める場合のサクラダソウの学名は、Pratia begonifolia (Wall.) Lindl.またはPratia nummularia (Lam.) A.Braun et Asch.です。現在でもこれらの学名で紹介されることがあります。さらに、ニュージーランド原産で葉や果実がよく似た姿のLobelia angulata G.Forst.と混同されることもありますが、花の形が異なるので区別することができます。種小名のnummulariaは「平円盤形の、硬貨形の」という意味です。和名の「サクラダ」の由来は調べた範囲では分かりませんでした。

サクラダソウは匍匐し、葉は直径2cmくらいの円形または心形で鋸歯があります。節から根を出して地表全体に広がります。葉腋から数cmの花茎を伸ばし、直径1cm程度の地味な花を付けます。よく似たL. angulataは、花弁が幅広く白色なので花にも鑑賞価値があります。一方のサクラダソウは花弁が短くて細く目立たない上に、色も濁ったピンクの混じる白色で、全く存在感がありません。ですが花が目立たないだけに果実が一層目立ちます。果実は直径1cmくらいで赤紫色です。果実の中は肉質で2室あり、キキョウ科らしい細かな種子が入っています。

中国では全草を薬用とします。風邪、湿邪を除き、活血、解毒の作用があるとされ、リウマチ痛、打撲傷、乳腺炎、種々の膿腫に用います。

当館では昨年から温室で育て始めていますが、植木鉢を抜け出して周りの地面に広がりつつあります。一方、温室内の下草でもっとも勢力があるのはミヤコジマソウ (ヒロハサギゴケ) で、両者の接するところでは混じり合うように育っています。最終的にどちらが勝つのか興味深く眺めています。