BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラ(タヌキモ科)

Genlisea hispidula Stapf subsp. subglabra (Stapf) P.Taylor

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラ

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラはアフリカ南部(アンゴラ~タンザニア)に分布する小型の食虫植物です。World Flora Online (http://www.worldfloraonline.org/)によれば、G. hispidulaの亜種ですが、別種のG. subglabraとする見解(Plants of the World Online: http://www.plantsoftheworldonline.org/など)もあります。ここではWorld Flora Onlineに従います。ゲンリセア属はアメリカ南部とアフリカ南部で南大西洋を囲むように分布しています。属名はフランスの作家ジャンリス夫人(Stéphanie Félicité Ducrest de St-Albin, comtesse de Genlis, 1746 – 1830)に由来し、本属を命名したオーギュスタン・サンティレール(Augustin Saint-Hilaire, 1779 – 1853)が献名したものです。種小名hispidulaは「毛がある」、亜種名subglabraは「少し+無毛の」で、あまり毛がないことを意味します。

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラは地上部に直径1㎝程度の匙状の丸い葉をつけます。地下部には根はなく、特殊な捕虫葉をつけます。捕虫葉は筒状で根元に膨らみ(写真6枚目の ↓ )があり、途中で二股に分かれる逆Y字型をしています。二股に分かれた先は、ねじれて螺旋の溝を描いています。地中の微生物(プランクトンや線虫)は螺旋の溝に沿って筒に入り根元へと誘導され、膨らみに入り込むと捕らえられ、消化されてしまいます。

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラは冬に花茎を伸ばして1~10個程度の花をつけます。ゲンリセア属植物の中には花茎の毛から粘液を出し、小さな虫を捕らえるものもあります。しかし、本種の花茎には毛がなく、粘着力もありません。基準種との違いも主にこの花茎の毛の有無にあります。蕚と花弁の裏側には毛がありますが、これらからも粘液は出ていません。花冠は唇形で下の唇弁は3つに分かれます。下唇には距があります。花色は個体によりさまざまで青、紫、ピンク、まれに黄色や白色もあります。当館で栽培の個体は、昨シーズンは紫でしたが今年は置き場所を変えたせいか、よりピンクに近い色になりました。

ゲンリセア・ヒスピドゥラ・サブグラブラの栽培は、小さなプラスチックポットにピートモスを入れ、土の表面まで腰水します。空中湿度が高い方が良いと聞いたので、初めは霧吹きをかけていましたが、そこまでしなくても用土が水没していれば十分なようです。最低5℃くらいの無加温室でも栽培可能ですが、秋の植え替え後に19℃の温室へ移したところ元気になり回復も早まりました。