キリラ・ラケミフロラは北アメリカ南東部から南アメリカ北部に分布する低木です。属名Cyrillaはイタリアの医師で、ナポリ大学の植物学教授を務めたこともあるDominico Cyrillo (1734または39~1799)に因みます。キリラ科はCyrilla属約10種と単型属のCliftonia monophylla (Lam.) Brittonからなる小さな科です。キリラ科はリョウブ科やツツジ科に近縁です。Angiosperm Phylogeny Group (APG) websiteにあるEricales(ツツジ目)の分岐図(2016年6月24日閲覧)によれば、まずリョウブ科が分離し、その後キリラ科とツツジ科に分かれたと考えられます。キリラ科とリョウブ科はかつては果実の形(裂開するか閉果か)で区別しました。一方、新しい区別は一般的な花の形に関連づけられるというのですが、具体的にはよく分かりません。
キリラ・ラケミフロラの花序は当年枝の根元に数個付きます(一方リョウブは枝の先端に付きます)。種形容語の通り、総状花序(racemose)です。花には多数のアリが集まっていますので、肉眼ではわかりませんが蜜が豊富であることが伺えます。北アメリカでは、ハチが多く集まり蜜原植物の1つと認識されているようです。1つ1つの花は直径5mmくらいで目立ちませんが、長さ15cmくらいの白色の花序が多数つくので美しいものです。花だけでなく、秋には紅葉することから鑑賞用に栽培されることもあります。
リョウブ
リョウブの花拡大