シッソノキはインド原産の落葉高木です。一見すると平たい楕円形の葉が互生しているようですが、上原敬司『樹木大図説』によると羽状複葉だというのです。そこで、よく観察してみました。すると確かに、小葉の付け根には芽がないので小枝ではなく葉柄であろう、ということになります。秋になると小枝に見える葉柄ごと脱落します。樹高は25~30m、幹は径2.5mにもなります。
花は葉柄の付け根からでて円錐花序となります。花は初め乳白色で段々色濃くなります。2012年4月に取り上げたニオイシタン(Dalbergia odorifera T.C.Chen)とよく似ていますが、花筒が短いです。
シッソノキは庇陰樹、あるいは用材として熱帯各地で栽培されます。中国名は「印度黄檀 yin du huang tan」です。根の心材はニオイシタンと同様に生薬名を「降香」、「降真香」といい、理気し、止血し瘀血を行(めぐ)らせ、鎮痛し、吐血、喀血、打撲傷などに用います。また化膿したできもの、腫れものに外用します。原産地のインドでは根以外にも様々な部位が利用され、乾燥した樹皮や新鮮な葉を鼻血、喀血、月経過多など様々な出血に対する止血、収斂薬として用います。オイルは皮膚の疾患に外用されます。葉のエキスは淋病の急性期に用いられます。