<「オーストラリアに生き残った原始的な植物 アカニア・ルケンス」>
アカニア・ルケンスはオーストラリア北西部の亜熱帯地域に分布する、1科1属1種の小高木です。かつてはムクロジ科に入れられたこともありましたが、今では独立した科になっています。樹高は 9~12m になり、葉は互生し、長さ60cm に達する羽状複葉になります。現地では10月末から11月に、白や薄いバラ色の円錐花序をつけます。果実は長さ2cm ほどで、3室に分かれており、熟すと黄色くなる、直径5mm ほどの種子が入ります。
アルゼンチンでは 6000万年前の地層から、現在では絶滅した、アカニア・アメリカナ( A. americana )という植物の化石が見つかっています。アカニアの仲間は、かつてオーストラリアや南米にかけて広く分布していましたが、今ではオーストラリアの一部に分布するのみです。また、 6000万年前といえば、被子植物が爆発的に多様化し、様々に進化し始めたころです。ところが、アカニア・ルケンスはこの化石と比較して、ほとんど進化しておらず、原始的な特徴を残しています。このことから、この植物は「生き残り植物」といわれています。
当館では 2005年の10月に種子を温室内で播種しました。そして、潅水を続け、1年2ヶ月以上たった2006年12月になって、次々と発芽しました。春になり、本葉も出て、順調に生育しています。