ヘンヨウボク、別名クロトンノキはインド東部からマレーシア、ジャワ島からオーストラリアにかけてが原産で、世界各地で栽培される低木です。英語名などの「クロトン」で一般的には知られていますが、学名を見ればわかるようにCroton (ハズ属)ではありません。ヘンヨウボクは初め1753年にリンネがハズ属のCroton variegatus L.として発表し、1824年にフランスのAdrien Henri Laurent de Jussieuが新属のCodiaeum variegatumと改めました。しかし当初のCrotonがそのまま一般的な呼び方として定着してしまい、現在まで続いているものです。属名Codiaeum (ヘンヨウボク属)は、ギリシア語のkodeia (頭)に由来するとも、インドネシアのテルナテの人々の現地名kodihoに由来するともいわれています。ヘンヨウボク属は東南アジアに17種が知られていますが、園芸的に利用されているのはヘンヨウボク1種だけです。
ヘンヨウボクの花は枝先の葉腋から生じます。雌雄同株ですが、雄花序と雌花序は別々のタイミングで出てきて、雄花序には多数の雄しべを持つ雄花、雌花序には3本の雌しべを持つ雌花がつきます。
ヘンヨウボクは「変葉木」の名の通り、非常に多くの葉の変異があり、形も色も様々です。当館では1958年に京都大学農学部の古曽部園芸場(当時。現在の農学研究科附属農場)から譲り受けた2株を所持しています。1株は「広葉、うねり」と登録台帳に記録されている葉がねじれて螺旋を描くタイプ、もう1株は「細葉」と記録されている葉の中間部分が主脈だけを残してくびれるタイプです。日本へは安永2年(1773年)に伝わったとされる古い園芸植物です。
ヘンヨウボクは中国南部で葉を小児の泌尿器系疾患に用いるほか、東南アジアでは若葉を加熱調理し食用とします。