<秋に赤い果実が吊り下がり観賞用に珍重される。中国では垂枝衛矛といい、薬用とすることもある。>
ツリバナはニシキギ科に属する落葉低木で、日本から朝鮮半島、中国、南千島に分布し、日本では、北海道から九州まで日本全土の山地に生えますので、見かけられたことのある方も多いと思います。
晩春から初夏に葉腋や芽鱗の腋から5~7cmほどの細い柄を伸ばして集散花序をつくり、径7mm程度の薄緑色から淡い紫色の小さな花をたくさんつけます。この花が終わると、秋には1cmほどの赤紫色の果実がぶら下がり、それが割れると中に5個の朱色の仮種皮に包まれた種子が見えるようになります。この様子から和名のツリバナ(吊り花)という名がついているようです。
花や果実の様子が鮮やかに見えて特徴的ですので観賞用に重宝され、園芸用に栽培されたりしています。
葉は幅5cm長さ15cmほどの卵楕円形で対生し、細かい鋸歯があります。同属のマユミ(E. sieboldianus)と姿かたちが良く似ていますが、果実が開裂するとツリバナは5個の種子、マユミは4個の種子が見えるようになります。
日本では若芽を食用にされたこともあったようですが、中国では垂枝衛矛(すいしえいぼう)と呼ばれて、根や茎皮を薬用にできることが中葯大辞典にみえます。打撲傷や骨折による痛み、関節痛などに外用したり内服したりするようです。民間薬的な利用法かもしれません。