<不思議な形の蜜腺をもった多年草。薬用としても利用される。>
春にごく淡い黄色を帯びた小さな花の集まった円錐花序を出し、わりによく目につく樹木にニワトコがありますが、ニワトコとよく似てはいますが、多年性草本である植物にソクズがあります。北海道以外(最近は北海道でもみられるそうですが)の日本各地でよく見られる草本で、ニワトコと同じSambucus属に属しよく似ているので、クサニワトコとも呼ばれます。
草丈は1~1.5mくらいになり、茎はしっかりしていて直立し、葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は5~9対つけます。初夏から夏に小さな白い花をたくさんつけた散房状の花序を茎の先端に出しますので、真っ白に見えます。
面白い事にこの花序のところどころに、径2~3mmていどの中心がへこんだ黄色いお椀のような蜜腺が見られます。花自体は蜜を持たないのですが、この蜜腺から蜜をだして昆虫を呼び寄せるようです。
また、秋にはニワトコに似た赤い実をたくさんつけます。
ニワトコは花や実を鑑賞用に庭園樹とされることはありますが、地下茎で周囲に増えていくソクズは、似ていても庭に植えられることはあまりありません。
このソクズも全草を薬用として用いることが知られています。骨折の治癒促進や、血管収縮作用があると言われていて、腫痛、利尿、リウマチ痛、神経痛などに利用されることが知られています。ニワトコにも同じような効果があることが知られ「接骨木」という別名があることは有名ですが、ソクズは接骨草とも呼ばれます。
成分としてはウルソール酸、シトステロール、スティグマステロールのような植物ステロールをはじめ、クロロゲン酸、フラボノイド、タンニンや精油が含まれることが分かっています。
中国では”蒴藋(サクチュウ)”と 呼ばれて難しい漢字を書き、中葯大辞典にも記載があります。この漢字の読み方がなまって“そくず”と呼ばれるようになったという説もあります。