BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

シマカンギク(キク科)

Chrysanthemum indicum L.

シマカンギク

<乾燥頭花をキクカ(菊花)といい、漢方処方に配合される。>

秋を代表する花の一つに菊がありますが、栽培品の鑑賞菊は、中国で1500年以上前に、今回取り上げたシマカンギク(Chrysanthemum indicum)とチョウセンノギク(C.zawadskii var. latilobum Kitam.)との交配した植物から改良されたものと考えられています。
このシマカンギクは、日本では近畿地方以西、四国、九州、または朝鮮半島、中国に分布して、日当たりのよい山麓などに生える多年草です。茎の基のほうは倒れて地を這いますが、上部は立ちあがって高さ40~60cmほどになります。葉は深緑色で葉柄があって、葉柄の基には葉状の仮托葉をもち、互生します。葉身は卵円形で5つに羽裂し、各裂片はきょ歯状になります。
秋に写真のように、黄色の直径2~3cmほどの頭花を散房状につけます。頭花には周辺に一列の舌状花があり、中心部に多数の管状花があります。舌状花が白色のものや、全体に毛の多いものなど変異が多いことが知られます。
シマカンギクは観賞用としても美しい花ですが、薬用としても使用されます。漢方ではキクカ(菊花)といい、漢方処方の釣藤散に配合される生薬で、現行の日本薬局方にも収載されています。局方では「本品は1)キクChrysanthemum morifolium Ramatulle又は2)シマカンギクChrysanthemum indicum Linné(Compositae)の頭花である。」とされていますので、キクカの基原植物の一つに当たります。
キクカには解熱、消炎、解毒や降圧作用があるとされ、目の充血、かすみ目、風邪の初期症状や頭痛に利用されています。
また中国では生薬としてばかりでなく、菊花茶としても身近に親しまれてきた植物の一つです。