ペガヌム・ハルマラは中国西部から地中海沿岸の乾燥地帯に分布する、やや木本化した多年草で、高さ 20-70cm になります。この植物は中国では駱駝蓬(らくだほう)といい、塩分の多い乾燥地で生育できるため、 新疆ウイグル自治区の半乾燥地では牧草として利用しています。また、乾かした植物体を蚊取り線香のように利用します。
ペガヌム・ハルマラは古くには薬草として用いられ、中国では全草を駆虫やリウマチなどに、黒褐色の種子は咳や麻痺に用いられました。ところが、この種子はモノアミン酸化酵素(MAO)阻害物質である、ハルミンやハルマリンなどのアルカロイドを含み、幻覚作用を引き起こします。このような毒性のため、今では薬用としては使われていません。
前述にこの植物を牧草に使うと書きましたが、このような有毒なアルカロイドを含む植物を、家畜が食べて大丈夫なのでしょうか? 実は、このハルミンやハルマリン、種子や根に多く含まれますが、地上部にはほとんど含まれないそうです。