BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ブンカンカ(ムクロジ科)

Xanthoceras sorbifolium Bunge

ブンカンカ

<中国黄土地帯の油料植物 ブンカンカ>

ブンカンカ(文冠果)は 1 属 1 種の中国固有の植物です。中国東北部からモンゴルにかけて分布しています。属名は xantho (黄色)と ceras (つの)からなり、花弁の間にある、角状の突出した黄色い腺があることに由来します。写真では暗くて少しわかりづらいかもしれませんが、中心のめしべと 8 本の白いおしべの他に、花弁の間に黄色い腺があるのがわかるでしょうか。この植物は落葉樹で、生長すると高さ 8 m にもなります。当館のブンカンカは 1995 年に中国の北京植物園より種子を導入し、今年初開花しました。花の時期は 4 月から 5 月で、開花してすぐは花弁の基部が淡い緑色なのですが、開花後 2 、 3 日で黄色からうす紅色に順に変化していきます。この植物は日本の植物園ではあまり植えられていないようです。

ブンカンカは耐乾性が強く、乾燥した黄土地帯でもよく生長します。花が終わると 4 ~ 6 cm のさく果ができ、中には直径 1cm 程度の黒褐色の種子ができます。ブンカンカの自生地では、熟す前の白い種子を食用にしたり、熟した種子から油を搾ります。この油は食用にしたり、石鹸を作るのに利用されます。しかしながら、熟した種子の皮は硬く、油を絞るのに苦労するようです。

また、この植物は薬用としても利用されています。中薬大事典(小学館)によると、枝葉や、外皮を取り除いた木材を煎じて内服したり、煮詰めて膏剤を作り、リウマチ性の関節炎に処方することがあるようです。