ビロードアオイはヨーロッパ原産の多年草で、花壇などによく植えられます。葉はやわらかい毛に覆われ、織物のビロードのような肌触りがします。夏になると、直径2 cm程度の、淡い桃色の花を咲かせます。別名をウスベニタチアオイともいいます。
この植物は、古くから根を薬用として用い、栽培もされました。太くて白い根はアルテア根とよばれ、秋に掘り上げて収穫されます。アルテア根はデンプンや粘液質、ペクチンなどを含み、健胃薬や、甘いワインに混ぜて咳止めに使われました。また、湿布や賦形剤としても用いられました。葉や花も薬用にされたようです。
ビロードアオイは英名でマーシュマロー(Marsh mallow)といいます。Marshは沼地、mallowは植物のアオイという意味です。この植物が湿った土を好むことから名がつきました。実は昔、お菓子のマシュマロは、この根の粉末を原料に作られ、植物名がそのままお菓子の名前として用いられました。今では、マシュマロは卵白やゼラチン、砂糖で作られますが、名前はそのまま残りました。ビロードアオイの根から作ったマシュマロ、いったいどんな味がするのでしょうか。