BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヒレハリソウ(ムラサキ科)

Symphytum officinale L.

ヒレハリソウ

<コンフリーの名で知られるかつては薬用や食用として使われた植物>

ヒレハリソウ(Symphytum officinale)は、ヨーロッパ、小アジア、西シベリアの原産のムラサキ科の多年生草本で、コンフリーという英名でも知られています。草丈は40~100cmほどになり、長楕円状の卵形からは皮針形で先の尖った、互生の葉をもち、全体にざらざらの短い粗毛を持っています。茎は分枝して葉柄の基部から伸びた”ひれ”があるので、和名の由来となっています。5月~9月頃に茎の先からさそりの尾のような花序を垂らして写真のように鐘形の5弁の花をつけます。花の色は紫色、白色、淡黄色や淡紅色などが見られます。

鑑賞用にも美しい花ですが、ヨーロッパでは古くから根や葉を出血性胃腸疾患や抗炎症、骨折や傷の治療に用いられてきました。また葉や若芽はビタミンやミネラルに富み、食用ともされてきました。

日本には明治の中ごろに食用や薬用・家畜の飼料として移入されましたが、”不老長寿の薬草”あるいは”栄養蔬菜”として珍重されました。また長寿者の多いカフカス地方で食用とされることから昭和40年代に健康食品としてブームとなったこともあるそうです。このため、近縁のS.asperum(プリックリーコンフリー)やロシアコンフリー(Symphytum x uplandicum ヒレハリソウとプリックリーコンフリーの交配種)も含めて健康食品として用いられてきました。

ところが、コンフリーにはピロジジンアルカロイドという有毒成分が含有され、肝障害(肝静脈閉塞性疾患)の健康被害が知られるようになったことから、日本では2004年6月に食品としての販売が禁止されました。

ヒレハリソウは適応力が強いため、栽培されていたものが逃げ出し、今では全国いたるところで見られる雑草となっています。