花から葉が出て花?
ホシクサ科シンゴナントゥス・クリサントゥス (Syngonanthus chrysanthus (Bong.) Ruhland) の頭花(キクのような、平面上に並んだ小さな花の集まり)が葉になった挙句、さらに花を咲かせました。
これだけでは何ともよく分からない話ですが、順番に説明するとこうです。
昨年(2023年)の9月に、白い玉のような頭花から緑の葉が出ているのに気が付きました。
この後どうなるのか見守っていたところ、頭花の葉は新しい茎となって、地面に生える本体が花序を伸ばすのと同時に花序を出し、開花しました。
細い花茎の先に小さな株ができているので、重さで倒れています。
単子葉植物の花序の一部が珠芽(しゅが、むかご)に変化することは時々あり、特にヒガンバナ科ネギ属で顕著で、ヤグラネギやニンニクが有名です。野生植物でも田畑の畔に生えるノビルでよく見られます。いずれも花茎が枯れると珠芽は分離して次世代の株となります。
ホシクサ科でこのような珠芽が発生する例は知りませんが、日本で見られる1年草のホシクサ類と異なり多年草なので、突然変異の花茎が寿命を迎えずに新たな花を咲かせたのではないかと思います。
ネギ属の場合は先に書いたように花序に発生した珠芽は次世代の株となりますが、シンゴナントゥスの場合はどうなるのでしょうか。今のところ、新しい茎の根元に根は無いので、分離しても新たな株になるのかわかりません。
引き続き観察を続けたいと思います。
花から葉が出たシンゴナントゥス・クリサントゥス(左は通常の花序が枯れたもの)(2023年9月)
ヤグラネギの花序
ニンニクの花序と珠芽