ローズマリーがサルビアに!
古くなった看板を作り直すときは、YListで学名が変わっていないか確認することにしています。ローズマリー(看板写真にあるように標準の和名はマンネンロウと言いますが、本稿は耳慣れたローズマリーで続けます)のように古くから知られている植物は何も変わらないだろうと思いました。ところが、念のため確認してみると、変わっていたのです。
ローズマリーの学名はロスマリヌス・オッフィキナリス Rosmarinus officinalis L. でした。Rosmarinusは古いラテン語に由来し、「海のしずく」を意味します。英語のrosemaryもこれが基になっているので、学名を覚えやすい植物の一つです。因みにofficinalisは「薬用」という意味です。
しかし新しい学名は、サルビア・ロスマリヌス Salvia rosmarinus Schleid. となります。
2017年に発表されたアキギリ属(Salvia)の分類に関する論文(*)が広く認められて、ローズマリー属を含むいくつかの属が大きなアキギリ属に含まれることになりました。
(因みにサルビア属ではなくアキギリ属と呼ぶのは、属名の和名は国内種に基づいて名付けられるからです)
改めてローズマリーの外形を見ると、サルビアと同じグループだとは思えません。強いて言えば、アキギリ属のチアシード(Salvia hispanica L.)と同じように、ローズマリーの種子 (正確には痩果と呼ばれる果実)も給水してゼリー状に膨れるところが似ている、かもしれません。
これからお客様を案内するときにどう説明するか、困ってしまいます。
(*) Bryan T. et. al. TAXON 66 (1) • February 2017: 133–145. DOI https://doi.org/10.12705/661.7