日本では小笠原諸島や沖縄諸島に分布し、台湾、中国、東南アジア、インド、オーストラリア、ポリネシアの熱帯・亜熱帯の海岸地帯で広く見られるアカネ科の常緑低木にヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia)があります。
東南アジアでは、民間薬として根を瀉下薬としたり、果実や葉を通経薬、解熱薬、抗マラリア薬や強壮剤として利用されてきた有用植物ですが、最近ではむしろ健康食品のノニジュースの原植物として知られています。
ハワイではこの植物をノニと呼んで、果実は太平洋諸島や東南アジアなどの熱帯地域では古くから食用とされてきました。その果実の果汁が、ノニジュースとして販売されています。
葉は対生して、楕円形もしくは長楕円形、かたく革質で長さ15~30cm、幅10~15cmと大きくなります。ふつう葉の付け根と反対側から頭状花序を出して、たくさんの花が集まって集合花をつくります。
花が終わるとたくさんの液果が寄り集まって塊り、ごつごつした楕円または卵形のほぼ4cmほどの複合果をつくります。内部は空洞なので水に浮き、海流に乗って撒布されると言われています。
根にはアントラキノン系の色素モリンジンやモリンドンを含んでいて、赤色から赤褐色を呈するので、インドやインドネシアでは染色剤として利用されています。
同属のM. officinalisの根は、生薬「巴戟天(はげきてん)」として、補腎・強壮薬として、インポテンツ、婦人の不妊症、リウマチ、脚気の鎮痛などに利用されことが知られています。