BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ミヤコジマソウ (ヒロハサギゴケ)(キツネノマゴ科)

Strobilanthes reptans (G.Forst.) Moylan ex Y.F.Deng et J.R.I.Wood

ミヤコジマソウ (ヒロハサギゴケ)

ミヤコジマソウ(ヒロハサギゴケ)は台湾から太平洋諸島およびニューギニア島に分布する多年草です。日本では琉球諸島の宮古島と大神島にのみ分布します。Hemigraphis(ヒロハサギゴケ属)は熱帯を中心に100種ほど分布する低木または匍匐性の多年草です。 注:近年はイセハナビ属(Strobilanthes)に含まれるようです。

ミヤコジマソウも匍匐性で、楕円形の葉を対生し節ごとに根をだしてよく広がります。茎の先端に短い花序を付け、1、2個ずつ開花します。朝咲いていた花はお昼頃には茶色く萎んでしまう1日花です。花弁は白色で、よく見ると赤紫の脈と黄色の斑点があります。雄しべは4個、雌しべは1個です。これまでは、いつの間にか咲いていてなかなか花を見られませんでしたが、今シーズンはたくさんの花がつき、まとまって咲いているのが見られます。

ミヤコジマソウは分布が広いため世界的には希少な植物ではありませんが、日本国内では分布が限られている上に、生息地が開発で減少しているため野生個体はほとんど無く、環境省レッドリストの絶滅危惧IA類(CR)に指定されています。温室で栽培している限りでは、匍匐枝でどんどん広がり、種子でいつの間にか遠くへ飛び、除草しようとしても茎だけ切れて根株が残る、雑草同然の頑健な植物です。このような植物が絶滅に瀕してしまうのですから、人間が土地を利用しようとする時には元々存在する生物にどのような影響があるか、よくよく気を配る必要があります。