コウトウニクズクは台湾に分布する高さ 20m になる高木です。和名の「コウトウ」も台湾南東の島、蘭嶼 ( らんしょ ) の旧名「紅頭嶼」に由来します。長さ約 15cm の葉は互生し、粉のようなものに覆われているので艶がありません。
コウトウニクズクは雌雄異株で、花は数個が葉腋にまとまってつきます。 1 つの花は直径 5mm くらいでとても小さいものです。花被片は 3 つに分かれており、中に雄しべまたは雌しべがあります。当館で栽培しているのは雄株なので、中には合着した雄しべが見えます。雌株の場合、雌花も雄花と同じくらいの大きさですが、果実は直径 5cm ほどにもなります。
同じ仲間のニクズク (Myristica fragrans) は種子の中の仁を「ナツメグ」、種子の周りの赤い果肉のようなもの ( 仮種皮 ) を「メース」と呼び、それぞれスパイスにします。コウトウニクズクの種子も同じようにスパイスとします。しかし、ニクズクと違ってまったく出回っていません。また、当館で栽培しているのは雄株だけなので、残念ながらコウトウニクズクの種子を楽しむことはできません。
ニクズクの種子と仮種皮 (インドから入手)