BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コウホネ(スイレン科)

Nuphar japonicum DC.

コウホネ

<根茎を縦割して乾燥したものをセンコツといい、薬用とする>

小川や沼地などに生え、初夏から夏に光沢のある鮮やかな黄色の花を咲かせる水生植物にコウホネがあります。北海道から九州までほぼ日本全土で見ることができるスイレン科の多年生草本です。
葉は根茎の先端から出る根生葉ですが、水中、水面にある葉、水上に出る葉の三種の葉があります。水面あるいは水面より上に展開する葉は濃い緑色で黄色の花とは対照的な色彩で、先がやや尖る楕円形、基部は矢じり型でサトイモの葉のような形をしています。一方水中に有る沈水葉は、薄く膜質で細長く色も薄くなっています。
6月から9月頃にかけて水面上に長い柄を伸ばして写真のような黄色の花を咲かせるので、大変目につきます。
根茎は泥の中を横に走り太くなりますが、表面に葉のついた跡が残ってごつごつしています。ちょっと見には脊柱のようにも見えることから、「川(河)骨」と言われ、これがコウホネと呼ばれる由来ですが、生薬ではセンコツと呼びます。
生薬はこの根茎を縦割りにして乾燥したもので、産前産後の出血や月経不順に、いわゆる「血の道症」など婦人用薬として使われて来ました。また、漢方では血の廻りをよくして血の鬱滞を治し(駆瘀血)、尿を出して浮腫、打撲傷などに利用されることが知られています。
生薬には、セスキテルペン系アルカロイドであるヌファリジン、ヌファラミン、ヌファミンやデオキシヌファラジンのほか、フラボノイド配糖体、粘液質、タンニンなどが含まれることが知られています。
センコツは日本薬局方にも収載されている重要生薬のひとつです。