グロッバ・ウィニティーはタイ原産で高さ50~90cmの多年草です。グロッバ属は東南アジアからマレーシア熱帯地域に約100種が知られています。属名Globbaはインドネシアのアンボン島での呼称「galoba」に由来します。本種は英語圏では「Dancing ladies ginger」とも呼ばれます。
グロッバ・ウィニティーは長さ20cmくらいの長楕円形の葉を持ち裏には毛があります。花序は茎の先端から伸び下垂します。花序の苞葉は赤紫色に色づき、花そのものよりも目立ちます。苞葉が白色になる園芸種もあります。主軸から枝分かれした花序の先には数個の花があり、1つずつ咲きます。個々の花は黄色です。グロッバ・ウィニティーの花はショウガ科らしい独特の形をしています。一般のショウガ類と異なるところは、雄しべが変化した唇弁がないことです。雄しべは湾曲して長く伸び、先端には翼状の突起があります。この奇妙な花をよくよく眺めていますと、長い雄しべの下側に基部から雄しべの先端に繋がる細い糸が出ていることに気づきました。これをそっと引っ張り出してみると雌しべであることがわかりました。
グロッバ属のうち、中国南部に産する数種は、鎮痛、消炎などに用いられますが、本種の利用法は知られておらず、専ら鑑賞用とされます。各地の植物園の温室などで見られることができますので、機会があればじっくり観察すると面白いかもしれません。
(左)雄しべの下に見える細い糸のような雌しべ。(右)雌しべを引きだしたところ。