BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

クスリウコン(ショウガ科)

Curcuma zanthorrhiza Roxb.

クスリウコン

クスリウコンはインドが原産で、アフリカ、東南アジア、中国南部の各地、特にインドネシアで多く栽培される多年草です。

草丈は50~100㎝ほどになります。葉は先のとがった楕円形で中央に紫色の筋があります。葉柄は緑色です。植え付け直後の春の終わりから初夏に、葉の展開に先立って花序かじょを出します。花序の高さは40㎝ほどになります。花序はほうに覆われています。花が出てくる部分の苞は緑色、花序の先端近くの花がない苞は赤紫色です。緑色の苞の内側に数個の花があり2、3日に1つずつ開花します。花序全体では、1日に数個の花が咲きます。1つの花は1日でしぼみます。花は筒状で、上側に赤紫色の花弁、下側に雄しべが変化した黄色の唇弁しんべんがあります。中心部には雄しべと雌しべがあります。

クスリウコンの花を分解したもの

クスリウコンは地下にショウガのような根茎を作ります。根茎の断面は淡い黄色で、ウコンのような濃い黄色ではありません。根茎には独特の香りがあり、かじるととても苦く、ショウガやウコンのようには生食できません。クスリウコンの根茎は名前の通り薬用として知られていて、インドネシアの伝統的な薬用・健康飲料である「ジャムウ」に配合されます。また、食欲増進、下痢、貧血の治療などに用いられます。

クスリウコンの根茎

葉の中央に紫色の筋があり、葉よりも先に開花するところは、生薬ガジュツ(我朮)の基原植物であるクルクマ・ゼドアリア〔Curcuma zedoaria (Christm.) Roscoe〕とよく似ています。しかしクルクマ・ゼドアリアの花序はクスリウコンよりも小さく、高さが約半分の15~20㎝で、苞の大きさもクスリウコンの半分です。最も異なるのは根茎の色と香りです。クルクマ・ゼドアリアの根茎は淡青~青緑色です。

クルクマ・ゼドアリアの花
クルクマ・ゼドアリアの根茎