イギリスの”Plants For A Future Database”には個々の植物に関する様々な情報が掲載されています。例えば生育地、有用性、繁殖方法、関連文献等々。そのDatabaseで上記のCyathodes fasciculataを調べてみると以下のように書かれていました。”種子は1~2ケ月で発芽する事もあるが、しばしば3~5年かかる。根系は非常に繊細で移植には細心の注意がいる。成木になれば4メートルに達するが実生の生長率は小さい”と。また別の文献で、この植物を調べてみると、”種子からの育生は極めて困難なので止めた方がよい”と書かれてありました。こう書かれると育ててみたいのが植物園関係者。当館にはエパクリス科の植物が無かった事もあり、育てるのは難しいかもしれないと思いつつ、種子をニュージーランドの種苗会社から購入して育てることにしました。
2002年の7月25日に播種したところ、同年の12月27日に1個体発芽して、その後だらだらと合計15個体発芽しました。翌2003年3月24日に15個体を5号鉢に移植しました。ほとんど根が無く神経を使う仕事でした。そして現在2004年1月の生育状況を報告しますと、これまでに6個体が枯死しました。残り9個体のうち最大樹高は1.8㎝(写真上)で最小樹高は0.5㎝(写真下)です。9個体の樹高を平均すると1.0㎝です。つまりこの植物は1年間で1.0㎝しか生長しなかったのです。4メートルの成木になるには何年かかるのでしょうか。
このホームページを御覧の皆様に申し上げます。キアトデスを種子から育てるのは、お止めになったほうが宜しいかと思います。
(尚、エパクリス科の植物を育てたい方はEpacris longiflora Cav.が時々 市場に出回りますので、それを購入するのをお勧め致します)
(※APG分類体系ではツツジ科に含まれます)