エウクニデ・バルトニオイデスは、アメリカ南部のテキサス州、ニューメキシコ州やそこに南接するメキシコに自生するシレンゲ科の草本で、写真のように鮮やかな黄色の花をたくさん咲かせます。径5cmほどの5枚の花弁からなるロート状の花で、多くの雄しべが突出しているのが特徴です。
伏地性の1年草で、立ち上がった部分の草丈は30cmほどになります。葉は長い葉柄があり、長さ5cmほどの広卵形ですが、縁はさまざまに裂けます。全草にとげが密生しており、服などに触るとに引っかかります。とくに茎や葉柄のとげは長く鋭く触ると少々痛みを感じます。シレンゲのように花にはとげはありませんが、取り扱いには注意が必要です。シレンゲ科植物は刺されると痛いとげをもつものが多く、イラクサ(英語でnettle)のようなとげを持つということから、この植物の英名もYellow rocknettleとなっています。
陽当たりのいい乾燥した砂のような土壌を好み、砂漠の岩場などに育つようです。自生地では夏場に開花するそうですが、資料館では温室栽培のためかほぼ年中開花が見られます。こぼれ種子でかんたんに増え、栽培も容易ですので花の観賞用には良いかもしれません。
あまり情報のない植物のひとつですが、近年この植物に、イリドイド化合物がいくつか含まれていることが明らかになりました。その中には、リンドウ科の苦味健胃生薬であるセンブリやゲンチアナに苦味物質として含まれるスウェロサイドやロガニンもあり、このシレンゲ科植物にも含まれていることが判明したことから化学分類学的にも興味の持たれるところです。