近年花粉症の人が増え、春先には花粉予想が出されるまでになりました。ドラッグストアなどには様々な花粉症対策のグッズ、サプリメントが売られていますが、その中で「甜茶(テンチャ)」というお茶が売られているのをご存知の方も多いでしょう。甜茶はバラ科のキイチゴ属のルブス・スアウィッシムス( Rubus suavissimus )という植物の葉をお茶にしたものです。この甜茶のなかに含まれるポリフェノールが、花粉症の症状の原因になっているヒスタミンの分泌を抑えるといわれています。
この植物は、中国の南部、広西自治区の特産で、茎にはとげがある落葉低木です。現地ではこの植物を栽培しており、 4 ~ 11 月に葉を採取し、日干しにして甜茶を作ります。果実は熟すと朱色になり、甘くて食べられます。京都でもこの植物は元気に育ち、 4 月には白い花を咲かせます。
甜茶の「甜」は甘いという意味で、実際に甜茶を飲むと甘い味がします。これは葉に甜茶糖( rubusoside )という甘み成分が含まれているためです。この物質は砂糖の 100 倍甘いといわれていますが、カロリーはほとんどありません。このため甜茶は中国で糖尿病の民間薬として用いられたようです。
中国では甜茶とは甘いお茶の総称で、他にアカネ科の牛白籐(ギュウハクトウ、 Oldenlandia hedyotidea )、ブナ科の多穂柯(多穗柯、タスイカ、 Lithocarpus polystachyus )、アジサイ科の臘蓮繍球(ロウレンシュウキュウ、 Hydrangea aspera ssp. strigosa )またはヤクシマアジサイ( Hydrangea grosseserrata Engl. )があります。これらの植物はお茶として日本ではほとんど知られていません。中国では実にいろいろな植物をお茶として利用しています。