メリアントゥス科は、メリアントゥス属とベルサマ属の2属からなる小さな科で、すべてアフリカ熱帯から亜熱帯に分布している低木です。
今月紹介するメリアントゥス・コモサスは、主に南アフリカ内陸部の乾燥地帯に広く分布しています。メリアントゥス( Melianthus )の学名は、ギリシャ語の ‘meli’ (蜂蜜)と ‘anthos’ (花)に由来しますが、花にたくさんの蜜があることに因みます。この植物の英語名も ‘honey flower’ (蜜の花)となっています。
メリアントゥス・コモサスは小さな灌木で、切れ込みの入った灰緑色の葉が枝先にかたまってつきます。葉をすりつぶしたり、茎を傷つけると不快な臭いがします。花には多くの蜜があり、鳥により花粉が運ばれる鳥媒花です。花はオレンジ色です。
アフリカでは、葉を外用あるいは煎じて、傷、炎症、打撲、腰痛、リウマチなどの治療に用います。また、面白い利用法として、ジャッカルなどの野生動物のわなを仕掛けたとき、人間の臭いを消すために地面を掃くのにこの植物の枝を使います。ヨーロッパでは、観賞用植物として栽培されることもあります。