


マンゴスチンはボルネオ島、マレー半島が原産と言われ、インドから東南アジアやオーストラリア北東部、メキシコで栽培される樹木です。果実が美味なことから「果物の女王」と称されます。最近では果皮に含まれるキサントン(α-マンゴスチン)やロダンテノンBが注目されて、タイでは果皮ごと果実を絞ったジュースが販売されているほか、日本でも果皮エキスを用いたサプリメントが販売されています。
花は枝の先端につきます。萼片と花弁はそれぞれ4つです。花弁は桃色で、開花後1日で落下します。萼片ははじめ緑色で花弁が落下した後に内側が赤くなります。マンゴスチンは雑種が起源と考えられていて雄株は知られておらず、雌株だけで結実します。花の中央には1つの雌蕊があり、その周囲に不稔の雄蕊があります。果実には受精をしていないのに種子が入ることがありますが、これは胚珠の中の珠皮が発達したものです。食用とされるのは主に、果肉部分である仮種皮(胚珠の基部の胎座や珠柄が発達したもの)です。増殖には種子や接ぎ木法が用いられます。
当館のマンゴスチンは2003年に入手し2006年に大温室に定植したものです。よもやま話(LINK)にも書いたように、開花はまったくの不意打ちでした。以前開花した植物園からは開花までに何十年もかかったと聞いて諦め気味でした。また枝の先端に果実ができるのは知っていましたので枝葉を洗う際などに枝先は見ていましたが、内側の小枝の先までは見ていなかったのです。7月13日に見つけた時点では開花から数日が経過して花弁が落下していました。上記のように授粉せずに結実することから収穫が期待できます。今後も果実の発達を観察していきます。