


プランタゴ・オバタはインドから西アジアを経てアフリカ北部、および北アメリカ東部のメキシコ北部からアメリカ合衆国ユタ州にかけてが原産のオオバコ属の一年草です。中国南東部やタイ、ドイツにも移入されています。
プランタゴ・オバタは日本で見られるヘラオオバコに少し似ていますがずっと小型で、草丈は15cm程度です。茎はほとんど見えずに分枝して株元からたくさんの葉を出します。葉は線形で長さ10cm程度です。葉や花茎は毛で覆われています。葉腋から10cm程度の花茎をのばして長さ2cmくらいの花穂をつけます。花冠は4裂し、雄しべが飛び出ます。果実は長さ5mm程度でオオバコのように横に裂け2個の種子が含まれます。中の種子は楕円形で片面は窪み、長さ2mm程度です。オオバコに似た形をしています。
オオバコの仲間の種子は降雨などで水分を与えられると吸水して粘液に包まれます。これは種皮の表皮細胞に含まれる多糖類によるものです。この粘液は種子が動物に付着することを助けて分布域を広げるためのものだと考えられます。実際にオオバコでは、靴に付着して種子散布に役立ったことが実験的に証明されています。プランタゴ・オバタ他数種のオオバコ属植物の種子の外皮を精製したものは「サイリウム」または「サイリウムハスク」と呼ばれて、食物繊維としてひろく使われます。また便秘薬に「プランタゴ・オバタ種子」や「プランタゴ・オバタ種皮末」が配合されることがあります。腸の中で水分を吸収して膨らむことで便の容積を増やしてやわらかくする効果や、大腸の刺激につながって便通を促す効果が期待されます。
参考文献
オオバコの種子粘液が靴への付着散布を助けることを実験で証明 https://www.obihiro.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/06/press20220613.pdf、https://doi.org/10.3390/su14116909