BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヒメイカリソウ(メギ科)

Epimedium trifoliatobinatum (Koidz.) Koidz.

ヒメイカリソウ

<四国、中国地方西部、九州北部に分布するイカリソウ属山草>

イカリソウというと、生薬では強精・強壮薬として知られる「インヨウカク(淫羊藿)」を連想しますが、ヒメイカリソウは生薬としては利用されず、もっぱら山草として親しまれています。
バイカイカリソウ(Epimedium diphyllum)とイカリソウ(E.grandiflorum var. thunbergianum)の自然交配種とされ、日本の中国地方の西部、四国、九州北部に自生しています。
草丈20~30cmほどの比較的小さな多年草で、葉のつき方は2回3出複葉のものが多く、小葉は歪んだ卵形で先は尖っています。開花期は3~4月。花色は写真のように白色で、4個の花弁に4個の距がついていて、碇のように見えるのが特徴です。
山草として親しまれるためか乱獲による数の減少が懸念され、愛媛県では絶滅危惧IB類に指定されています。
シノニム(別名)として、E. × youngianum Fisch.et C.A.Mey. が知られますが、アメリカの植物分類学者R.A.Young(1876-?)の名に由来しているそうです。
この植物にインヨウカクと同じ作用があるかどうか分かりませんが、ちなみに生薬のインヨウカクの基原植物として日本薬局方に指定されているイカリソウ属植物は、E. pubescens、E. brevicornum、E. wuhshanense、E. sagittatum(ホザキイカリソウ)、E. koremanum(キバナイカリソウ)、E. grandiflorum var. thunbergianum(イカリソウ)、E. sempervirens(トキワイカリソウ)の7種です。