BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヒッポクラテア・パルウィフォリア(ニシキギ科)

Hippocratea parvifolia Oliv.

ヒッポクラテア・パルウィフォリア

[※2009年の分類のままで掲載しています。現在のAPG分類体系(APG IV)では、ニシキギ科に含まれます]

<デチンムルとは何?>

デチンムル科のなかで サラシア属 (Salacia L.) はダイエット飲料として有名ですので、御存じの方も多いと思います。インドの5000年の歴史をもつというアーユルヴェーダにも記載され、現在も使用され続けているということは、かなりの効果が現実にあると思われます。サラシア属は薬用だけでなく多くの種が果実を食用として利用されています。

それに反して、今回ご紹介する デチンムル科のヒッポクラテア属(Hippocratea L.)はまったくといっていいほど有用性が知られていない植物群です。薬用や食用にならず幹も細いため建材にもなりません。(丸々、7年育てて幹の太さは4㍉です)クロンキスト博士(Arthur Cronquist)も書物のなかで経済的な重要性はないと綴っています。しかしながら、科学的な分析技術の進歩でヒッポクラテア属の植物から何かしら有効な成分が発見される日がくるかも知れません。その日を信じて毎日、灌水を続けています。

ヒッポクラテア属は熱帯地域に分布し、約100種からなっており、ニシキギ科に近いと考えられていて、現にニシキギ科に含める分類学者もいます。

ところで話は変わりますが、和科名の”デチンムル”とは、どういう意味なのか長い間疑問に思っていました。その疑問がやっと解決できました。”デチンムル”とはフィリピンの近くのパラオ諸島に生育する Salacia naumannii Engl.の現地名だったのです。そうなると新たな疑問が湧いてきました。Hippocrateaceae にデチンムル科という和名を名づけた日本人は誰なのかという疑問です。御存じの方は山科植物資料館までご一報下さい。