BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

バショウ(バショウ科)

Musa basjoo Siebold ex Iinuma

バショウ

バショウ(芭蕉)は、大型の多年草で、食用バナナの仲間です。その形態は食用バナナにそっくりですが、実は大きくならず食用にはなりません。中国大陸原産とされていますが、原産地の詳細はわかっていません。バショウはバナナの仲間では最も北に分布しています。日本でも暖かい地方を中心に、庭園や庭先に栽植されます。食用バナナと同じように子株より容易に増殖することができます。

夏から秋にかけて花茎がのびて花序をつけます。果実を食用とするバナナの苞(花を外側から包んでいるもの)は紫色ですが、バショウの苞の色は写真のように黄色です。

中国では、バショウは古くから文人達の庭の必須構成材料として栽植されてきました。多くの漢詩の題材にされたり、書家が紙の代わりに大きなバショウの葉に書したともいわれています。また、日本でも江戸時代には観賞用として広く栽植されていたようです。深川の寓居の庭にバショウがあり「芭蕉庵」と呼ばれたことから、「芭蕉庵桃青」と号したのは、江戸時代の俳人松尾芭蕉です。中国ではバショウの根、葉、花、種子が薬用にされます。