チドメグサは日本から熱帯アジア、オーストラリア、アフリカと広範囲に分布する多年草です。名前の通り、葉をもんで止血に用います。インドネシアでは食用になります。ツボクサをずっと小さくしたような形で、匍匐茎をもち、直径1㎝ほどの円形の葉をつけます。葉の脇から小さな散形花序を出します。花弁は5枚、雄しべは5本、柱頭は2つです。
チドメグサは従来セリ科でした。しかし、近年の分子系統解析によってウコギ科に属することが分かりました。木本ばかりのウコギ科の中に、小さな草本のチドメグサが含まれるというのは驚きです。形態的に何をもってチドメグサがセリ科ではなくウコギ科とするのかは難しいのですが、基礎生物学研究所の長谷部光泰先生のサイト http://www.nibb.ac.jp/plantdic/blog/?p=860 に詳しく書かれていました。
これによりますと、チドメグサはセリ科とウコギ科の中間の形質を持つことが多いものの、托葉があることや、葉柄基部が茎を取り巻かないこと、花弁辺縁が内側に曲がらず、かぎ爪状ではないことはウコギ科の特徴と一致します。またツボクサとチドメグサはともに花序を腋生するように見えますが、チドメグサの花序は仮軸分枝で頂生しているのだそうです。ということで、直立する枝を出すノチドメHydrocotyle maritima Hondaを撮影してみました。確かに茎の先端に花があり、花序の根元から次の芽(茎)が伸びだそうとしているように見えます。