BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

セコイア(ヒノキ科)

Sequoia sempervirens (D.Don) Endl.

セコイア

セコイアは北アメリカ西部(オレゴン州とカリフォルニア州)の太平洋沿岸の森林に分布する高木です。巨大な木で、原産地での樹高は100mを超えます。属名はアメリカ先住民でチェロキー文字を発明したSequoyahに因みます。種形容語のsempervirensは常緑の意味です。様々な別名があり、葉の形から「イチイモドキ」、セコイアオスギSequoiadendron giganteum (Lindl.) J.Buchholzと区別して「セコイアメスギ」、種形容語を付けて「センペルセコイア」などと呼ばれます。漢字では、幕末から明治期の博物学者である田中芳男が「世界爺」と訳しています。中国名は「北美红杉 bei mei hong shan」です。

セコイアの葉は互生し、長さ2~2.5cm、幅0.2~0.3cmです。イチイの枝に似ています。葉は古くなると、スギのように枝ごと落下し、あまりバラバラになりません。毬果は直径2cmくらいの球形で、鱗片はらせんを描きます。メタセコイアと比べると、メタセコイアは冬に完全に落葉すること、小枝ごと落ちた葉はバラバラになること、メタセコイアは葉が対生で、毬果の鱗片も十字対生であることなどが異なります。

当館のセコイアは1971年にポルトガルのコインブラ植物園から種子を導入したものです。30年以上鉢植えで管理していましたが、2006年に現在の場所へ定植しました。植えてからも10年くらいは高さ約1mのままでなかなか大きくなりませんでしたが、ここ5、6年でぐいぐいと背を伸ばしてきました。2025年2月時点で高さ4mです。2024年からは雄花を出すようになりました。雌花が咲いて実ったら、当館のメタセコイア果実と並べて展示したいと思っています。

参考文献
石川光春(1926)世界爺を観る記. 植物研究雑誌. 3巻7号. p152-160 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/3/7/3_3_7_326/_article/-char/ja
上原敬二(1961)樹木大図説 I. 381-389. 有明書房