<「アメリカ先住民が身体の着色に使ったといわれる サンギナリア」>
サンギナリアは北アメリカの中東部原産の多年草です。水はけがよく、湿った、明るい林床に分布します。春から初夏にかけて、一枚の葉に抱かれるように、白い花が咲きます。園芸用としても出まわっており、八重咲きの品種もあります。
この植物の学名のsanguinは「血」を意味します。この植物の根茎を切ると紅い汁が出てくることから、サンギナリアは英名でブラッドロート(bloodroot)といいます。この紅い汁を、アメリカインデアンは口紅や、体へのペイント、衣服の着色に用いたといいます。サンギナリアを別名、インディアン・ペイント(Indian paint)とよぶのはこのためです。
ブラッドロートはサンギナリン(sanguinarine)などのアルカロイドを含み、薬用としても利用されました。一時はアメリカ合衆国薬局方に去痰薬として記載されたこともあります。ごく少量で吐き気を誘発するため、催吐剤としても利用されました。しかしながら、多量に摂取すると有毒で、激しい嘔吐を催し、時には致命的になることがあるので、注意が必要です。