BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

サガリバナ(サガリバナ科)

Barringtonia racemosa (L.) Spreng.

サガリバナ

アフリカ東部から東南アジア、太平洋の諸島に広く分布する常緑の高さ10mになる小高木です。沖縄や奄美大島の海岸沿いの湿地にも生育しています。長さ60cmほどの花序が垂れ下がることから「サガリバナ」と呼ばれます。

花はこの花序に15から20の花をつけます。直径約3cmで、花弁は白色で4枚、多数の雄しべ(写真で白色の房状が雄しべです。)があります。「花開けばたちまち墜落(ついらく)」すると表現されるくらい短時間で落花します。当館でも毎年咲いていますが、夜に咲いて翌朝には大半の花は落ちてしまいます。花弁と雄しべが落ちた後、雌しべと丸い萼(がく)が残ります。この姿から中国語では「玉蘂」(蘂=蕊:ずい、雄しべや雌しべのこと)と名付けられています。

果実は鶏卵ほどの大きさで、角張った長い楕円形です。軽い繊維質の皮をもち、水に浮いて運搬されます。この果実は有毒で、樹皮とともに砕いて、魚毒として魚を獲るときに使います。また、材が柔らかいので八重山諸島では昔、火起こし用の木片に使われていました。