BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

オオバシダソテツ(ザミア科)

Stangeria eriopus (Kunze) Baill.

オオバシダソテツ


植物こぼれ話の第24回で紹介していますが、花の姿が特徴的なので再び登場です。以前はスタンゲリア科に分類されていましたが、2011年のクリステンフスらの論文(Christenhusz, M. J. M., J. L. Reveal, A. K. Farjon, M. F. Gardner, R. R. Mill & M. W. Chase. 2011. A new classification and linear sequence of extant gymnosperms. Phytotaxa19: 55–70.)に従いザミア科としています。

オオバシダソテツの球花は頂生します。当資料館には雄株だけがあります。屋外のトンネル下ではやっと花が出たところですが、温室で栽培している株は開花し花粉を出しています。松ぼっくりの笠のような鱗片(小胞子葉)の裏側(背軸側)に花粉が付きます。花粉は直径0.5mmくらいのカプセル(小胞子嚢)に包まれています。小胞子葉を切り取って小胞子嚢を観察しますと、無数のカプセルが割れて中から花粉塊が出てきますので、少し不気味です。生理的に受け付けない人もいることでしょう。花粉1粒1粒の大きさは長辺0.2mm、短辺0.1mmの楕円形の円盤で、1本の溝がついています。

オオバシダソテツは原産地では薬用として知られています。南アフリカ東部のズールー人は塊茎状の根を様々な健康状態に用い、地下茎を下剤として用います。種子も下剤となります。
オオバシダソテツの花粉 (白い棒は長さ1mm)