オオキンバイザサ(オオセンボウ)は熱帯に見られる大型の多年草です。原産は熱帯アジアからオーストラリアですが、南国らしい雰囲気のある樹木の下草として世界中の熱帯の庭園や、鑑賞温室に植えられています。葉が小型のヤシに似ているので英名は Palm Grass です。茎が目立たず、地面から大きな葉ばかりが茂る様子は、寿司や弁当の仕切りに使われるハラン ( バラン、 Aspidistra elatior) にも似ています。
オオキンバイザサと同じ Curculigo 属には、酸っぱいものを甘く感じさせたり、水を甘く感じさせたりする作用を持つクルクリゴCurculigo latifolia (リンク)がよく知られています。オオキンバイザサとクルクリゴは、花のない時の姿がよく似ているので巷間ではしばしば混同されています。オオキンバイザサの方が、葉が細長で葉柄の毛がやや多いのですが、両者を見慣れた者でなければ区別するのは困難です。花序が出てくれば両者の違いははっきりします。オオキンバイザサの花序は柄が明らかで首を垂れるのに対して、クルクリゴの花序は柄が見えないほど非常に短くて首を垂れません。さらに、開花すれば違いがいっそう明らかになります。オオキンバイザサの 6 つの雄しべは互いに合着して雌しべを取り囲むのに対して、クルクリゴの 6 つの雄しべは互いに独立しているのです。
オオキンバイザサは観賞用とされるほかに、中国では大葉仙茅 ( ダイヨウセンボウ ) と呼び根茎を鎮咳去痰の薬とします。
クルクリゴの花