エレギア・テクトルム (コンドロペタルム・テクトルム)は南アフリカに分布する多年草です。科名は、インドネシアから中国海南島の三亜 (サンアまたはサンヤ) に分布するサンアソウ (Leptocarpus disjunctus) に由来します。サンアソウ科はおよそ 30 属 400 種ありますが、北半球に分布するのはこのサンアソウだけです。それ以外はアフリカ、南米、オーストラリアなどに分布します。サンアソウ科は DNA の研究などからイネ科に近縁であることがわかり、このことからイネ科は南半球を起源に進化したと考える人もいます。
エレギア・テクトルムは、サンアソウ科の中では最も大きくなり、高さ 2m を超えます。イグサのように細長い茎は南アフリカでは屋根を葺くのに使われます。種形容語の tectorum も屋根という意味です。葉は茶色の鞘状になっており、筍の皮のように剥がれ落ちます。花は茎の先端近くに穂状につきます。雌雄異株で、雄花も雌花も花被片が 3 つに割れてそれぞれ、雌ずい、雄ずいを現します。雄花、雌花ともたいへん小さく、長さ 2mm 程度です。
エレギア・テクトルムのすらっとした姿は、花壇に独特の雰囲気を与えることから、南アフリカではよく栽培されます。しばしば道路沿いに植えられますが、その場合は高さ 1.5m または 2.25m に育つ系統が選ばれます。剪定するとその茎は徐々に枯れてしまい切りそろえることができないので、高さのそろった株を集める必要があるのです。