BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

エウポマティア・ラウリナ(エウポマティア科)

Eupomatia laurina R.Br.

エウポマティア・ラウリナ

エウポマティア・ラウリナはニューギニア島から東オーストラリアの沿岸部にかけての林床に生息する常緑の低木です。エウポマティア科は3種が知られており、もっともよく見かける本種と、小形で珍しいエウポマティア・ベンネッティイ(植物こぼれ話 85で紹介)、ベンネッティイに似ており2002年に記載されたエウポマティア・バルバタ(E. barbata)があります。

エウポマティア・ラウリナの花は、葉腋から直接、または短い花序を延ばして1、2個ずつ付けます。蕾は直径1cmくらいになると、上半分がカップの蓋のように外れて開花します。このカップの蓋のような組織は、植物形態学の用語でカリプトラ(calyptra)といいます。エウポマティアのカリプトラは花被片が合着したものです。因みに属名のEupomatiaはギリシャ語の「eu(完全に) + poma(覆う)」から来ており、このカリプトラに由来します。エウポマティア・ラウリナの花は、花被片が(カリプトラとして)脱落してしまうので花弁はありません。写真の花弁のように見えるのはすべて不稔の雄しべです。稔性のある雄しべは外周にあり、後ろへ反り返ってしまうので、一見すると雄しべの内側に花弁があるように見える奇妙なものです。花の中央には雌しべがありますが普通は見えません。

植物こぼれ話で紹介したエウポマティア・ベンネッティイの花は、Flora of Australiaによると中心部が赤く、ラウリナよりも綺麗なようです。今のところ高さ50cmくらいになり相変わらず大きくなりませんが、開花した時には(今度こそ)ご紹介したいと思います。

脱落したカリプトラ
エウポマティア・ベンネッティイ