BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アマミコウスイボク(クマツヅラ科)

Lippia dulcis Trevir. (Phyla scaberrima (Juss. ex Pers.) Moldenke)

アマミコウスイボク

「中央アメリカの甘味料 アマミコウスイボク」

アマミコウスイボク(Lippia dulcis リピア・デュルキス)はメキシコやグァテマラ、パナマにかけて分布する多年草です。英名 Mexican lippia と呼ばれるこの植物は、葉には特有の香気があり、甘みを持っているので、スイートハーブメキシカン( Sweet herb Mexican )とも呼ばれています。茎は地面をはい、節から根を出して広がるので庭のグランドカバーに用いられることもあります。この植物は近年日本でもハーブ園などに植えられるようになりました。この植物の同属植物にこちらもハーブ園でおなじみのレモンバーベナと呼ばれるコウスイボク( Lippia citriodora )があります。こちらは低木で、葉にはレモンに似た特有の香気があり、お茶の香り付けに使われます。

アマミコウスイボクは甘いハーブとしてアステカ文明の時代から知られており、中央アメリカでは甘い根をガムの様に噛み物にしたり、キューバでは植物の汁をタバコの紙に染み込ませて香り付けに利用していました。また、原産地では南米のお茶、マテ茶の甘味料としても利用されるようです。アマミコウスイボクの甘みの成分は糖類ではなく、葉や花に含まれる Hernandulcin という物質です。この物質はショ糖の約 1000 倍甘いといわれています。

当館では糖類でない甘味をもつ植物としてアマハステビア( Stevia rebaudiana )やテンチャ( Rubus suavissimus 、 植物こぼれ話 30 で紹介)などがあります。これらの植物の葉はそのままかじっても甘みがあります。