アッケシソウは北半球に広く分布し、海岸の塩沼地に群落をつくります。日本では最初に北海道の厚岸市で発見され、この名がつきました。高さ5~35cm、茎は多肉質で、葉も肉質で茎に密着しているため、目立たず、節がつながったような奇妙な形をしています。8~9月になると、枝先に目立たない花をつけます。秋には赤みをおび、姿が珊瑚に似ていることから、珊瑚草とよばれたりもします。
この植物は海岸や塩田の跡地など、塩(塩化ナトリウム)の多いところに群落をつくります。普通、植物は塩の多い土壌では生育することができません。土壌に塩分が多いと、植物は土壌から水を吸い上げるのが困難になるのです。ところが、アッケシソウは普通の植物が吸収しないナトリウムイオンを吸収し、浸透圧のバランスを保ち、土壌から水を吸収できるようにしています。この植物は、むしろ海水が流れ込むような塩沼地のほうが、よく生育します。このような植物を塩生植物といい、日本の海岸沿いには、他にもアカザ科のホソバノハマアカザ(Atriplex gmelinii)や、キク科のウラギク(Aster tripolium)などがみられます。
当館でも、アッケシソウの栽培は海水を与えて栽培しています。アッケシソウはナトリウムを含んでいるため、食べると塩辛く、ヨーロッパではピクルスなどにすることがあります。また中世ヨーロッパでは、この植物の灰がナトリウムを含むため、ガラス製造に使われました。