ファレリア・カピタータはマレシア植物区(マレー半島、マレーシア、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニアなどが含まれる植物区系区)に分布し、ときに栽培される低木です。
ファレリア・カピタータの葉は長さ10cmほどの楕円形で対生します。花は主に秋から冬にかけて咲きます。葉がない時にも開花し、また香りがあるのでとても目立ちます。花は葉腋にまとまって付き、根元の筒部分(花冠筒)は長さ2cm、花の直径は1.5cmほどです。花冠よりも長い8本の雄しべと1つのめしべがあります。果実は直径1~2cm程度で赤く熟します。果実には1、2個の種子が含まれ、地面に落ちるとよく発芽します。
ファレリア・カピタータはインターネットで調べても利用に関する情報は多くありません。インドネシアでは沈香(同じジンチョウゲ科のAquillaria属、Gyrinops属などの数種から得られる香木)の劣等品として“gaharu buaya” (inferior agarwoodの意味。“gaharu”は沈香のこと)と呼ばれて工芸品に利用されます。当資料館の図書室にある古い書籍「A Dictionary of the Economic Products of the Malay Peninsula (マレー半島の経済産物辞典)(1966年)」をひもとくと、オランダ領東インド(現在のインドネシア)では樹皮の繊維を利用していたこと、果実は甘く食べられるが種子の中の子葉は有毒であること、種子を子供のscurfy eruption (頭の皮疹)に用いることが書かれていました。
参考文献
Mulyaningsih, Tri and Yamada, Isamu (2008) Notes on Some Species of Agarwood in Nusa Tenggara, Celebes and West Papua. http://eprints.unram.ac.id/36368/ (PDF)