北アフリカからインドに広く分布する低木です。葉を粉末にしたものをヘンナ(henna)あるいはヘナと呼び、色素を利用するために古くから栽培されてきました。花は、直径7mmくらいの小さな白い花ですが、芳香があり香水の原料にもされています。
旧約聖書にもこの植物の記述があり、エジプトではミイラを包む布を染めるためにヘンナを用いたとされています。布を染めるだけでなく、体、手足の爪、髪、髭を染めるためにも利用されています。和名の「シコウカ(指甲花)」も別名の「ツマクレナイノキ」も指の爪を染めるのに用いたことに由来します。
現在では、植物由来の髪染め染料として欧米では広く利用されています。ヘンナ染料には、キノン系色素ローソン(lawsone)が含まれ、これが毛髪の皮質のケラチンにからみつくことで髪が着色されます。そのため染色しても髪を痛めることがなく、さらに髪がしなやかになる効果があるといわれています。他の酸化染色剤のような発色染料ではないので、黒髪に対しては効果が弱く、白髪染めによいとされます。また、葉は薬用とされ、傷、火傷、湿疹などの治療にも用いられます。
シコウカの葉の粉末 (左) と、それを水に溶いたもの