「パキラ」という属名そのままの名称で観葉植物として鉢仕立てで販売されていて、5~9枚の小葉からなる掌状の葉をもつこの植物を見かけた方は多いと思います。鉢植えのものは大きくても1m前後ですが、実は、高さ20mにもなる高木です。メキシコ南部からペルー・ブラジルに分布しています。
今春、温室でこのパキラが開花しました。花は20cmもある大きなものですが、早朝に開花するため、出社する頃には写真のように花弁は反り返ってらせん状の曲がった状態になっています。白色で目立っているのは雄しべで200本以上あるといわれています。これに対して雌しべは1本しかありません。受粉が終わると200本の雄しべはしおれて枯れてしまい、1本の雌しべだけが残ります。
果実は20cm位の楕円球で、厚くて固い木質化した果皮をもっています。熟すとこの果 皮が割れ、中から種子がこぼれ落ちます。種子は径 2cm、ゆがんだ栗状で、茶色に黄白色の縞模様が特徴的です。パンヤ科(クッションなどの詰め物にする繊維を果 実からとる木の仲間)の植物らしく種子のまわりにはわずかに絹毛が生えています。この種子はギアナチェストナット(「植物の話あれこれ」No.44)、マラバルチェストナットと呼ばれ食用とされます。炒って食べてみたところ、ピーナッツのような、ピスタシオナッツのような味がしました。