BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

グリエルム・フミフスム(ネウラダ科)

Grielum humifusum Thunb.

グリエルム・フミフスム

地中海性気候のナミビアから南アフリカに分布するこの植物は、雨の多い冬が終わった後に開花します。南アフリカ西部の海岸では、平原が一面黄色い花で埋め尽くされることで知られています。

この植物は地面をはう性質があり、砂質土壌の好適条件下では地表一面を被うように生育します。5枚の黄色い花弁からなる花は直径3cmあり、現地での一斉開花は見事な景観であることが想像できます。栽培されることは非常にまれで、日本ではあまり知られていません。

「フウロソウ科」や「ベンケイソウ科」などに誤って分類している資料もありますが、この植物は「ネウラダ科」というバラ科に非常に近い小さな科に分類されています。研究者によってはバラ科に入れることもあります。ネウラダ科には、グリエルム属を含めて3属7種が分類されています。

珍しい植物ですので、余り多くの情報がありませんが、調べたどの資料でも「ネウラダ科の植物は、すべて一年草である。」と記載されています。当館では、2002年夏に導入して、翌年春に花が咲きました。開花後葉が枯れたので処分しようとしたところ、大きく立派な根がありましたので、念のためもう一度土に埋めておいたら、秋になって芽がでてきました。そして、写真のように開花しました。もしかしたら、本当は地下部が残って何年も生きられる多年草の性質を持っているのに、自然の厳しい乾燥条件のために一年草になっているのかもしれません。