マンサク(Hamamelis japonica Siebold et Zucc.)の語源が「まず咲く」が訛ったもの、と言われるようにマンサクは春一番に開花するイメージが強い植物ですが、アメリカマンサクはさらに早く秋の黄葉直前に開花する植物です。アメリカマンサクは名前の通り、北アメリカが原産の低木です。黄葉が美しいこと、秋に開花すること、後述のように薬用となることから鑑賞樹として栽培されます。
アメリカマンサクは高さ5mほどに生長し、粗い鋸歯をもつ幅広い卵形の葉をつけます。10月終わりの葉が黄色く変わる頃から咲き始め、11月後半の葉が茶色くなる頃まで咲いています。葉は茶色くなったあとも脱落せずに年明けまで残ります。花の直径は3cm程度で、マンサクよりも明るい黄色をしています。
アメリカマンサクは多量のタンニンを含み、収斂剤として樹皮をハマメリス皮(ラテン語でHamamelidis cortex)、葉をハマメリス葉(同Hamamelidis folium)と呼び、ヨーロッパで広く利用されます。ハマメリス皮は口腔粘膜および歯肉の炎症にうがい薬として用いられ、ハマメリス葉は急性下痢の治療補助、月経過多などの止血や樹皮と同じく含嗽剤として用いられます。また化粧品原料として葉や樹皮、小枝のエキスも利用されます。