BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

イジュ (ヒメツバキ)(ツバキ科)

Schima wallichii (DC.) Korth. subsp. noronhae (Reinw. ex Blume) Bloemb.

イジュ (ヒメツバキ)

ヒメツバキは日本の南西諸島から東ヒマラヤ、東南アジアまで広く分布する高木です。当館の木はまだ小さく高さ3mもありませんが、最大では40mにもなります。地域によって大きさや生態などに様々な変異があり10種以上に分けられていましたが、現在は南西諸島からヒマラヤに分布するヒメツバキと、東南アジアに分布する亜種のsubsp. noronhaeの2つだけにまとめられています。ヒメツバキは別名イジュとも呼ばれ、これは沖縄での呼称です。

(註 改訂新版日本の野生植物第4巻(2017)によると、硫黄列島を除く小笠原に分布するものをヒメツバキ(susp. martensiana)、東南アジア、東アジアに広く分布し、日本では奄美以南の琉球に生育するものをイジュ(subsp. noronhae)と呼びます。当館栽植のものは1987年にイジュとして導入したものなので、上記の学名となります)

ヒメツバキの花は枝の先端にたくさんつきます。枝によっては花が出た後に新たな枝を伸ばすところもあります。当館ではナツツバキからやや遅れて咲きますが、ナツツバキと比べると一つ一つの花はやや小さいものの枝に固まって咲くので、ヒメツバキの方が木全体としては豪華な感じがあります。

ヒメツバキの材は堅く緻密なので建築材や家具材として利用されます。中国では葉を腸炎や細菌性の下痢に用い、根皮を腫れ物に外用します。