BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ジリンマメ(マメ科)

Archidendron jiringa (Jack) I.C.Nielsen

ジリンマメ


ジリンマメは東南アジアのミャンマーからマレー半島に分布に分布する高さ10mほどになる小高木です。西マレーシア地域では栽植されています。種形容語のジリン(グ)(Jiring、Jirin)はジャワの現地名で、スマトラではジェンコル(Jéngkol)、タイ南部ではニアン(เนียง Niang)などと呼ばれます。

ジリンマメの葉は4から6小葉の偶数羽状複葉で長さ30cmほどになります。花序は葉腋につきます。ネムノキ科(APG分類体系ではマメ科ネムノキ亜科)らしい雄しべが目立つ花ですが小さく、開花直前の蕾の大きさは直径2mmくらい、開花し広がった雄しべの長さは1cmくらいです。雄しべや萼片の色は白から淡緑色です。果実は、1つの種子が直径5cmくらいになる巨大な莢果となります。こんなに小さな花から巨大な果実ができるというのは想像しにくいのですが、せっかく咲いたからには人工授粉を試みました。しかし高さ2mくらいの鉢植えに、もしもそんなに大きな果実ができたらどうなってしまうのか、少し不安になります。

ジリンマメの巨大な種子にはデンプンや油が多く含まれているため食用とされます。東南アジアの市場では莢に入った種子を一つずつ切り分けて売られています。このため、1つの種子から莢全体の姿を想像することは難しいのですが左右によじれた不思議な形をしています。市場から購入したジリンマメは莢を割って種子を取りだし、皮を剥いた子葉をそのまま食べたり、炒めて食べたりします。種子にはニンニクのような独特な臭気があり(同じ臭いが植え替えの時に根からもします)、日本人には敬遠されますが現地の人々には好まれます。ただし、種子には有毒のジェンコル酸が含まれるため大量に食べてはいけないとされます。

この他に、莢の部分を紫の染料、樹皮を黒の染料にします。また薬用として皮膚疾患や胸の痛みに対して葉を湿布に用いたり、葉で歯痛のうがい薬を作ったり、若葉を焼いた粉を切り傷や割礼の傷に用いたりします。
果実がついたジリンマメ (1983年にタイで撮影)
タイで購入されたジリンマメの果実
ジリンマメの果実(右)と莢を割ったところ(左) (下の白線は長さ5cm)
ジリンマメの発根